身近な自然  

2024年5月3日金曜日

アリとエライオソームを持つ植物

 4月27日の午前中、庭でアリが大騒ぎ(のように見えた)。たくさんのアリが巣穴を出たり入ったりしている。何事?と思ってしばらく観察。有翅のアリも混じっている。飛んで行くのもいた。今まで見たことがないが、ひょっとしてこれがアリの結婚飛行?あとでアリハンドブックを見て、このアリはクロナガアリらしいと分かった。

この有翅のアリはひょっとして女王アリ?
手元にノジスミレのタネがあったので、近くに置いてみたが、目もくれない。じっと見ているわけにもいかず、その後しばらくして見にいったところ、あれだけたくさんいたのに一匹のクロナガアリも見当たらず、シーン。あれは何だったの???
ただクロナガアリ用に置いたノジスミレのタネは全部無くなっていた。やはり運んだのかな?と思っていたが、そうではなかった。

ノジスミレのタネが別のアリによって運ばれたらしいことが判明。タネは近くにあった別のアリの巣近くに並べられており、1個ずつ巣穴に運んでいるのが見られた(@_@)。
クロナガアリの大きさの二分の一ほどの小さなアリが運び主だった。トビイロシワアリではないかと思われるがよく分からない。
試しに雑木林で採集したムラサキケマンの種を置いてみた。スミレとは違い、真っ黒。
巣にせっせと運んでいた。

エライオソームを持つ植物
スミレの種をアリが運ぶことはよく知られている。スミレばかりではない。手元にある30年前に発行された「種子(たね)はひろがる」(種子散布の生態学)という本によると、春の妖精と呼ばれるカタクリをはじめアリによる散布植物は日本国内になんと約200種もあるとのこと。それらの植物には「エライオソーム」というアリを引き付ける栄養たっぷりの脂肪酸、アミノ酸、糖などが含まれている付属体がくっついる。

雑木林に外来種のスミレやオダマキの花が咲いているのが不思議で、アリの仕業かと思い調べてみたいと思ったのがきっかけでタネを集めている。たまたま庭にタネを置いたところ、アリが運んでいるのを観察することができたというわけ。

ノジスミレのタネ

20倍に拡大したタネ(1.5ミリ)白っぽいのがエライオソーム
ホトケノザのタネ(1.5ミリ)
ムラサキケマンのタネ(1ミリ)
クサノオウのタネ(1ミリ)
タネが入っている鞘がまだ熟していないのを切り開いて取り出したので白っぽい

ひょっとすると、アリはタネなら何でも運ぶ習性があるのかもしれないので、エライオソームのないタネも置いてみて、実験する必要があるかも。
それにしても植物たちはなかなかの戦略家。タネを弾き飛ばして増やし、さらにはアリに運ばせて離れた場所にも根付かせるのだから。